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キヤノン、日本の競合他社に比べて再生可能エネルギー面で大きな遅れを取る

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キヤノン、日本の競合他社に比べて再生可能エネルギー面で大きな遅れを取る

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2024年3月1日

要旨

気候変動に関するキヤノンの取り組みの実績には、特に排出削減目標や再生可能エネルギーへのコミットメントの分野において、依然としてばらつきがみられる。キヤノンはこれまで一定の成果を上げてきたとはいえ、日本では競合他社に大きく遅れをとっている。本調査レポートでは、キヤノンの既存の気候変動への取り組みの限界を浮き彫りにして、競合他社の環境サステイナビリティへの取り組みと肩を並べるために同社が取るべき主要なステップについて解説する。

キヤノンは最近、「科学的根拠に基づく目標イニシアティブ(SBTi)の基準により、2022年を基準年として、2030年までに絶対的なスコープ1と2の温室効果ガスの絶対排出量を42%、スコープ3の温室効果ガスの絶対排出量(カテゴリー1および11)を25%削減する」と新たに発表した。その後、2023年11月、SBTiはキヤノンのCO2排出削減目標が1.5°Cパリ協定に沿ったものであることを確証した。スコープ3の目標を達成するにはさらに意欲的な取り組みが必要ではあるが、これは排出削減目標において歓迎すべき前進といえる。

しかし、大きな難題が残されている。キヤノンがこの42%の排出削減目標を達成するには、同社事業における再生可能エネルギーの使用率を劇的に伸ばす必要がある。それにもかかわらず、キヤノンは2023年度以降の再生可能エネルギーの利用目標を設定しておらず、競合他社に大きく遅れをとっている。さらに、キヤノンが2022年にCDPに報告した再生可能電力の購入または取得率、わずか4.54%と際立って低値であり、過去4年間で5%の水準を超えることはなかった。実際、キヤノンの2023年における低炭素または再生可能エネルギーの目標使用率はわずか4.85%であった。

業界競合他社と比較すると、2023年以降の再生可能エネルギーの目標を設定していないという点で、キヤノンは明らかに異例の立場に置かれている。2024年1月、エプソンは世界のグループ全拠点で再生可能エネルギー100%を達成したことを発表した。これは、「国内製造業で初めて、日本を含む全世界の拠点で再生可能電力への移行を完了した」ことになる。同様に、リコーは2030年までに再生可能エネルギー50%、ソニーは2030年までに再生可能エネルギー100%、富士フイルムは2030年までに再生可能エネルギー50%、そしてHPは2025年までに再生可能エネルギー100%を公約している。

キヤノンは自らの排出削減目標を達成し、ステークホルダーに対して再生可能エネルギーの行動計画を適切に示す必要性があることを踏まえて、我々はキヤノンに対し、以下について改めて提言したい:

  • 2030年までに少なくとも60%を再生可能エネルギー源から調達し、再生可能エネルギー100%を達成することを公的し、それを実現するための透明性のある計画を策定すること。

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