宛先: 御手洗冨士夫 キヤノン代表取締役会長兼社長 CEO
誰もが知る世界的なブランド、キヤノン。その製品は、カメラ、プリンターや医療用の画像機器など多岐にわたります。また、キヤノンは「共生」という企業理念を掲げ、野生生物や自然を連想させるブランドイメージを確立しています。
しかし、2022年2月の英紙ガーディアン記事で明らかになったように、キヤノンは大きな矛盾を抱えています。顧客からの評判の良い、環境に優しいブランディングの裏で、気候変動懐疑論・否定論のための幅広いプラットホームであるシンクタンク ー キヤノングローバル戦略研究所（CIGS）ー を設立していたのです。
同研究所は、気候科学に関する誤った情報を広め、化石燃料を推進し、日本のクリーンエネルギーへの移行を遅らせようとしています。その影響範囲は、国際的なメディアから子どもたち、経済産業省や気候変動に関する政府間パネル（IPCC）などの政策決定機関にまで及んでいます。
CIGSの研究主幹は、気候危機を「リベラルのプロパガンダ」とし、気候変動活動家のグレタ・トゥーンベリ氏を共産主義者だと揶揄し、その著書には、『SDGsの不都合な真実 「脱炭素」が世界を救うの大嘘 「地球温暖化」でいったい誰が儲けているのか』などのタイトルがつけられています。
さらに懸念すべきことに、キヤノンは今年、自社の温室効果ガス排出削減目標を従来の半分以下の水準に引き下げており、まさに野心度を急速に高める必要がある時に、気候目標の引き下げを行う最初の世界的企業となっていることが新たな調査により明らかになりました。
キヤノンには、省エネ・省資源など効率偏重の従来の姿勢を変更し、同業他社に並ぶ再エネ100%へのコミットや、電力の脱炭素化に向けた政策提言活動に重点を移すことが求められます。
これはキヤノンというブランドの信頼性に関わる問題です。十分な声が上がれば、キヤノンは耳を傾けざるを得ないでしょう。
キヤノンの代表取締役会長兼社長 CEOであり、キヤノングローバル戦略研究所の評議員会議長を務める御手洗冨士夫氏に対して、「キヤノングローバル戦略研究所は気候変動否定に終止符を打つ」と公言し、「共生」を心から支持するよう呼びかけてください。
送信先: 御手洗冨士夫 キヤノン代表取締役会長兼社長 CEO
送信者: [あなたの名前]御手洗冨士夫 キヤノン会長兼社長 CEO
貴社は、世界的に有名で顧客からの信頼も厚い企業です。また「共生」という未来志向の理念を掲げ、世界をより良く変えていく真の力を持っていると思います。
その一方で、あなたが評議員会議長を務めるキヤノングローバル戦略研究所（CIGS）が、気候変動懐疑論・否定論のためのプラットフォームとして機能していることに深い懸念を抱いていることをお伝えするために、ご連絡差し上げます。杉山大志氏をはじめとする同研究所の研究員は、キヤノンというブランドを利用して、気候危機を「フェイクニュース」、脱炭素化を「嘘」などと決めつける、科学に反する情報を流布しています。
キヤノンの会長兼社長 CEOとして、またCIGSの評議員会議長として、CIGSが貴社の価値観に沿う活動をするよう、行動してください。
まず第一に、気候変動科学を否定する研究主幹による出版物の販売が停止されるまで、CIGSへの支援を取りやめることを求めます。まずは、杉山氏による中高生を対象とした書籍、『15歳からの地球温暖化 学校では教えてくれないファクトフルネス』の販売停止を求めます。
また、キヤノンはCIGSの反科学的で化石燃料を支持する見解を決して支持しない、そして貴社のブランドがそうした極端な意見のためのプラットフォームに利用されることを許しているガバナンス不足に関して、公開審査を行うとする声明を発表してください。
さらに、貴社が下記の対策を講じることを求めます。
– 最低でも2010年比45％削減（オフセットを除く）に相当する温室効果ガス絶対排出量の削減目標を新たに設定し、それにコミットする。
– 再生可能エネルギー100％にコミットするとともに、少なくとも2030年までに再エネ60％を目指し、自家消費型発電ならびにPPAモデル（第三者所有モデル）を導入する。
– とりわけ日本において、1.5℃目標に関連する主要規制および再生可能エネルギー政策に対し積極的な働きかけを行うことを含め、1.5℃目標に整合する気候政策への関与・働きかけに関する方針を策定・導入する。キヤノンと自然環境には大変大きな関わりがあると思います。将来世代に渡って自然環境を守ることができるよう、ぜひ貴社の企業理念に沿った行動をしてくださるよう求めます。
