小関 一成
山形県と宮城県境 蔵王山9合目
山形県と宮城県境にある蔵王山では、冬の珍しい現象「樹氷」が見られる。 「樹氷」はその変わった形から「スノーモンスター」と呼ばれ、季節風がもたらす湿った強い風と大量の雪により、日本固有のモミの一種アオモリトドマツに雪と氷が繰り返し吹き付けられることで出来上がる。
現在、カミキリムシやガの発生により、多数のアオモリトドマツが死滅している。被害の大きい9合目付近の標高数百メートルの広範囲では、木がほぼ全滅した。同時に、地球温暖化による気温上昇は顕著で、この樹氷は年々標高の高い場所でしか形成されなくなっており、このまま気温上昇が続けば50年後には樹氷は形成されなくなってしまう。私は7年間に渡り撮影とフィールドワークによる研究を続けてきた。 木々の雪が溶けた5月末の晴れた夜、枯れた樹氷と星空を切ない気持ちで見上げ、見つめ続け、手を合わせ祈った。 地球温暖化と気候変動は、これらの木が枯れた理由の 1 つと考えられている。 また、観光開発や観光誘致の影響が考えられ、 枯れ木が広がる2つの場所の共通点は、観光で人が集まる場所だということだ。 光、熱、車からの二酸化炭素などは、低地よりも高山の方がはるかに敏感である。 現在、これらの樹木を再生するプロジェクトが開始されている。 地球温暖化はさまざまな問題を引き起こすが、数百年後の未来にこれらの木が再生することを願っている。